日本の最高裁を解剖する
アメリカの研究者からみた日本の司法
デイヴィッド・ S ・ロー・著、西川伸一・訳 2013年、現代人文社、xviii頁+156頁 日本の最高裁は世界で一番保守的といわれる。違憲立法審査権の行使にはきわめて謙抑的である。その理由はどこにあるのか。アメリカの研究者である筆者が3か月間の滞日中に、それを解明すべく司法関係者をインタビューしまくった。本書はその結果の集大成である。 |
目次
日本語版への序文
「日本語版への序文」の原文
第1部 保守的最高裁の解剖──日本の司法を審査する
序 論 最高裁はなぜそれほど保守的なのか
第1章 最高裁裁判官への道
1 密室的な選考過程
2 任官までの道のり
3 司法部内での出世コース
第2章 最高裁裁判官へのもう一つの道
1 検察官経由
2 弁護士経由
3 行政官経由
4 法律学の教授経由
第3章 最高裁裁判官に対する制度的圧力
1 時間の制約──その1:すぐにやってくる退官
2 時間の制約──その2:過剰な仕事量
3 マンパワーの制約:裁判官と調査官の逆説的な関係
結 論 司法政治の性質と制度設計の影響
訳者解説
第2部 日本で違憲立法審査が十分機能してこなかったのはなぜか
序 論 最高裁はなぜ違憲立法審査に消極的だったのか
第1章 文化的説明
1「官」の文化
2 日本社会の主流にある政治文化
3 公然たる対立の文化的忌避
4 日本社会の軸なき特徴
第2章 歴史的説明
1 戦後に続く明治時代の遺産
2 「二流の官僚」としての裁判官
3 違憲立法審査の外来的な性格
4 冷戦の影響
第3章 政治的説明
1 違憲立法審査に対する政治的制約:外圧なのか自己抑制なのか
2 外部からの抑制:任命手続きを通じた政府の影響力
3 自己抑制:規範的か戦略的か
第4章 制度的説明
1 内閣法制局による事前審査
2 司法部と法務省の人事交流の影響
3 司法部の官僚制的構造と内部規律
結 論 司法官僚制の支配を断ち切る
訳者解説
訳者あとがき